刊行のことば

この度、京都美術青年会創立八十周年を記念致しまして、「青年会誌(全二十一巻)」を復刻、出版する運びとなりました。

青年会誌は、戦前の昭和五年から十六年にかけて当時の青年会員によって発刊された青年会の原点ともいうべき書物であり、そこには先人達の美術の対する計りしれない情熱と当時の時代背景、鑑識、学術などが余すところなく埋め込まれています。

しかし、残念なことにその存在自体を知る人が少ないこと、また全編文語体の書物であるがゆえ現代人には読むことも難しいことなどから歴史に埋もれようとしています。

この度の復刻に際し、以上のことを踏まえ、読みづらいというイメージを一新するため読みやすい文章に現代語訳し、大幅な注釈を入れ、なおかつ刊行された時代の雰囲気を損なわぬように新たな生命力を注入すべく、編集いたしました。

今回の記念出版により京都美術青年会の存在、そして諸先輩方の過去の功績が現世に広く紹介、認知されますことを切に願い、この”青年会誌”が全国の美術商、美術愛好家、お茶人、研究者のみなさまの一助となれば幸いでございます。